戦後まもなく始まった銭湯『石和温泉』 自ら営業を楽しみ、お客様を楽しませる、もてなしの心に触れる

笛吹市には、『石和温泉』という名の銭湯があります。開湯は、昭和30年代の温泉採掘ブームよりも一足先。「地域で4番目にできた」という同所は、浴場に富士山が描かれた、まさに誰もが描くような「銭湯」。時代に合わせて様々なエンターテイメントを仕掛けながら、今もなお注目を浴び続ける『石和温泉』を訪れ、同所を守る夫婦にお会いしました。



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石和温泉


番頭 樋泉 一位(といずみ かずのり)


父の後を継ぎ、約40年前より『石和温泉』を営む。「どうしたらよりお客様に喜んで頂けるか」を追求する商売人気質&エンターティナーで、昭和の時代に銭湯に長蛇の列をつくったほか、その取り組みが全国紙に紹介されたこともある。アットホームで一風変わった銭湯。


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エンターテイメントの町・石和


銭湯『石和温泉』は、戦後まもなくオープンした公衆浴場。



「ここがいつ始まったのか、定かではないのですよ。私の父が、友人から『築9年の銭湯を買ってくれないか?』と持ちかけられ、営業を開始したそうです。その頃は戦後まもない復興期で、村に一軒以上の映画館があった時代です。このあたりも興行的な施設が多く、その一つが『石和温泉』でした」


そう聞かせてくれるのは、番頭・樋泉一位(といずみ かずのり)さん。


石和温泉の開湯は、昭和30年代。温泉が出るといううわさが地元に広まると、「うちでも掘ってみよう」と乱掘状態になりました。しかし『石和温泉』はそんな時代より少し前に、石和エリアで4番目に開業した温泉でした。


「公衆浴場ですからね。当時の利用者は地元の方がほとんどでした。でもここ2、3年でしょうか。特に週末は県外から来られる方が随分増えました。みなさんインターネットで検索してきてくださるようです」



営業は毎週月曜日と第4火曜日以外の15時から23時まで。お湯は毎日入れ替え、浴槽もきれいに清掃しています。



「お湯はとてもつるつるとした感触ですよ。お客様が『ボディソープで身体を洗っても、お湯のつるつるとした感触が落ちない』とおっしゃられたことがあるくらい(笑)お肌がすべすべになりますよ」


と奥様の美津子(みつこ)さんが教えてくれます。


取材に訪れたこの日も15時の営業開始とともに、地元の常連客が一番湯を求めて姿をあらわしました。



銭湯に、バッティングマシーン。

「昔、『石和温泉』は全国紙で紹介をしていただいたことがあるんですよ」と、樋泉さん。その理由を尋ねると、銭湯にバッティングセンターを併設していたそう!さらに、そのマシーンは、それまで日本のどこにもない特注のバッティングマシーンでした。


「もっとお客さんに喜んでほしくて、何かできないかと考えていたんです。それに加えて、うちの営業的な側面もあって、ただお風呂に入って帰るよりも、お風呂に入って、少し座ってもらうとか、何かをしてもらう仕組みを作れば売り上げも上がると考えました。そこで思いついたのが、バッティングマシーンでした」


もともと野球が大好きだったという樋泉さん。同施設の改修をしていたタイミングに合わせて、屋上にバッティングマシーンを3機置きました。



「このマシーンが日本でここにしかない特注品でした。普通、マシーンは上投げですよね? 僕はそれをソフトボールの投げ方にしたのです」


マシーンを製作するために制作会社を探し、大阪や京都まで何度も出張したそう。何度も試作を繰り返しやっと完成しました。


「バッティングコーナーがあることでお客さんは急増しました。いつも長い列ができていたんですよ。バッティングセンターのある公衆浴場として、新聞にも取り上げていただきました」


バッティングコーナーは、機械の老朽化と合わせて、設置から約3年でクローズ。


「マシンを作り上げるのも、運営も大変でしたが、でも楽しかったですよ。銭湯に毎日行列ができていましたから。当時も県外から来てくださっていたお客様も多かったな」と懐かしみます。



現在、『石和温泉』は、食堂を併設。それは、「お風呂上がりにくつろいでいってほしい」という想いから始まりました。名物はラーメン。スープ作りには10年の時を費やしました。


「現在食堂は息子が担当してくれています。本当に美味しいものを出したくて、料理学校に通い、そして日本料理屋で修行をした息子です。メニューは季節に合わせて変えています。料理も好評いただいていると思いますよ」


張り出されたメニューを見ると『エレベーター』と書かれた札が。どんなものか尋ねて見ると……


「厚揚げです。厚揚げは湯に入れると最初は沈み、次第に火が通ると浮き上がってくるんです。その様子をみて『エレベーターのようだ』と思い名付けました。薬味ネギをたっぷりかけてお召し上がりいただきます。美味しいですよ」



日本の古き良き文化であるお風呂。『石和温泉』が今も愛される理由

綺麗な温泉施設がいくつもある時代になっても、常連は減らず、新規のお客様も増えているという『石和温泉』。



「どうしてだろうね?と夫婦でも話すんです。そこで思ったのが、このアットホームな感じがいいのかなって。ご飯を食べてくださるお客様とお話したり、採れたてのお野菜やフルーツをおすそ分けすると、特に県外の方がとっても喜んでくださいます」


そう聞かせてくれる奥様。


「毎日、1日が終わる頃には疲れたなと感じますが、お風呂に入って喜んで帰ってくださるお客様の姿が見たいんです。食堂の料理も『おいしかった』という声が励みです」

と、樋泉さんも続けます。



『石和温泉』は、食堂はもとよりバッティングセンターを設けてしまうほど、エンターテイメント成分満載の公衆浴場。樋泉さんの「せっかく来てくださるのだから、いい気分になって帰ってほしい」というもてなしの心と愛情がその運営を支えています。


「お風呂」は、今や生活に欠かせない日本文化。その原点とも言えるのが『石和温泉』をはじめとする公衆浴場です。昭和の古き良き風情を携えながら時代とともにサービスを刷新する同所で、懐かしくも新しい気分と、とっておきの湯にふれてみて。





\樋泉さんに会いに行ってみよう!/

店舗名:  石和温泉

住所:   笛吹市石和町市部1091-2

電話番号: 055-262-3441

営業時間: 15:00~23:00

定休日:  毎週月曜日 第4火曜日




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