日本で唯一の徒歩鵜(かちう)。 鵜と鵜匠のパートナーシップで魅せる、歴史ある漁法。

最終更新: 2018年7月26日


「鵜飼(うかい)」と聞くと、屋形船の先頭に数羽の鵜をくくりつけ、それを鵜匠が紐で操って…という光景を描く人が多いのではないでしょうか?


笛吹市の鵜飼は日本で唯一の「徒歩鵜(かちう)」。鵜と鵜匠が一緒に川に入り、川をのぼって漁をします。その歴史は古く、平安時代にまで遡るそう。そのまま明治期まで続いたと言われていますが、その後は効率の良い漁法にとってかわられ、途絶えてしまいました。


しかし、昭和51年に復活。平成17年には「笛吹川鵜飼保存会」が発足し、800年をこえる歴史と伝統を現代に伝えるべく、毎年夏に実演を行なっています。


鵜匠11年目の須田さん

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須田 雄介(すだ ゆうすけ)


笛吹川鵜飼保存会の若手鵜匠。高校生の時に“カンテラ”のバイトを経験。その時に見た先輩鵜匠のカッコよさに感銘を受けて興味を抱く。それから、鵜匠となり11年。地元高校生たちの指導も担当している。本業は果樹農家(桃・ぶどう)。


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どこを探しても、ここにしかないもの。

お祭りの雑踏も、夜空を彩る花火も、日本の夏の風物詩。ですが、笛吹市には日本中どこを探しても、ここでしか出会えない夏の顔があることをご存知ですか?


「小学生の頃、おじいちゃんに連れて行ってもらって初めて鵜飼を観ました」と話すのは、笛吹川鵜飼保存会のメンバー・須田雄介さん。須田さんは、鵜をあやつり漁をする「鵜匠(うしょう)」と呼ばれる技術者のひとりです。


「高校生のときに見た、先輩方の姿がカッコよかったんです。鵜を操る技術や来てくれた人に喜んでほしいという想いと姿勢を感じて、僕もやってみたいと思いました」


新築の鵜小屋前

鵜匠となった須田さんが最初に苦労したのは、鵜への恐怖心を克服すること。鵜はからだが大きく、凶暴な性格。するどいくちばしで噛まれたり突かれたりしたら大ケガになってしまうと言います。


プール付きの小屋の中で首を伸ばして餌を待つ鵜

「噛まれた人を見てしまったんですよ(苦笑)」と須田さん。しかし、鵜匠である以上、鵜に触れ合えなければ話になりません。


「魚を捕まえたら吐き出させたり、川から上がる際も抱きかかえなければいけませんからね。鵜になれるまでは苦労しました」


そんな鵜が、実は昨年病気にかかり、亡くなってしまいました。


「中止せざるを得ませんでした。こんなことは保存会が始まって以来、初めてのこと。毎年当たり前に出来ていたことができなくなってしまったことも、鵜に会えないこともとてもショックでした」


その反省を踏まえ、今年は鵜の飼育施設「うかい屋」を新築しました。


「若い鵜が多く、なかなか言うことを聞かない鵜もいます。それぞれ全然性格も異なりますからね。性格や特徴について、足首に色分けの輪をつけて把握できるようにしています。これまでと最も違うのは、鵜がわたしたち鵜匠に慣れていること。警戒されすぎていてもうまく行きませんが、慣れすぎて言うことを聞いてくれなくても困る。その辺のバランスを鵜匠がうまくとらなければいけませんね」


そう言う須田さんに、鵜は好きかと聞いて見ると表情ががらり。


「可愛いんです」


鵜に対する気持ちを伺うと、満面の笑みを見せてくれた須田さん


800年の歴史を保存し、時代に合わせた方法で拡散する。

「この鵜飼には、800年以上の歴史があるんです。わたしたちはその再現をしているにすぎませんが、歴史を伝えるという視点から考えると大きな役割ですよね。それに携われていることを、誇らしく思います」

現在、笛吹川鵜飼保存会には、20代から50代まで、20名ほどのメンバーが所属。全国的にも若いメンバーで構成されているそうです。


「後継者不足で続けられなくなる地域も多い中、ありがたいことですよね。より若い世代を巻き込んで後継者を育てていかなければと思っています」


鵜飼のイベントに向けて地元高校生と交流している様子。

後継者としてメンバーを募る一方で、対外的なPRにも力を入れています。


「今年は池袋のサンシャイン水族館で徒歩鵜の実演をしました。鵜が魚を捕まえるたび歓声が起こっていましたし、たくさんの人に喜んでもらえたと思います。笛吹川の鵜飼を知ってもらうきっかけにもなったかな」


同イベントは床が透明のドーナッツ型の水槽で行われました。その水槽がある下ではお酒を飲むイベントが同時開催。下にいた人たちは、鵜が魚を捕まえるところを水中から見るような貴重な体験ができたかもしれません。


池袋サンシャインで行われた鵜飼イベントは大盛況!

「800年の歴史を今に伝えるというのは口で言うのは簡単だけど、実際にやろうとすると難しさばかり。そもそも、山梨に鵜飼があること自体知らない人が多い。ですから、歴史を重んじながら、こういう新しい取り組みも必要だと感じています。知ってもらい、触れてもらう機会を増やしていきたいですね」


プールを設けて「見せ鵜」という鵜に触れたり、記念撮影ができたりという時間をとったところ、大行列。


「『見せ鵜』は笛吹川での鵜飼実演の時にも行なっています。鵜に触れ合えるというのも、全国でここだけなのではないかな」



やめるのは簡単だけど、はじめることは難しい。

「使命感、みたいなものを感じていますよ。鵜飼を笛吹市の観光資源の一つにすべく、「なくてはならないものに、僕らがしていかなければ」と須田さん。


先輩鵜匠さんや市役所員とともに和気藹々とイベントに向けて準備をしている様子。

中学生から大人まで応募できるという「鵜匠体験」は毎年大人気。日本の歴史を知り笛吹市の文化に触れるという大義だけでなく、実際に鵜匠の衣装を着て、魚をとるという貴重な体験ができることが価値となっている。


「鵜と鵜匠が一体になって行う漁は、日本中ここだけ。そういう意味でも、火を絶やさないための活動を続けなければ」と須田さん。


800余年の時を超えて笛吹川に再現される伝統漁法。

まだ目にしたことがないというなら、今こそ、笛吹川の夏へ





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